○月×日
失業手当の受給期間が終わってしまいました。わたしは今も陽美様の収入に頼りきりの「ひも」状態が続いていて、まったく働く意欲も持たずに毎日ごろごろとしています。月に百数十万円も稼ぎ出す陽美様の前では、すずめの涙程度の月給ではとても働く気になれないのもある意味当然といえるかもしれません。陽美様も陽菜様もいないがらんとした部屋で、わたしは今日も陽美様のご帰宅をお待ちしています。やることといえば、この日記を書くことと、部屋の掃除や洗濯、買出し、陽美様のお食事の準備・・・まるで主婦のようですね。大の男が働きもせず、情けない限りです。
そういえば、陽菜様が施設に引き取られて、もう3カ月になります。陽美様は今の仕事を始めてから、ストレスのはけ口としてわたしや陽菜に暴力を振るうようになってしまい、窃盗など犯罪がらみのトラブルを起こすこともしばしばになりました。結局、そうした荒れた家庭環境が児童相談所の知るところとなり、私たち夫婦には子供を育てる資格がないと判断されたのです。タカシ様がいたころから、陽菜様に児童向けのアニメのかわりにアダルトビデオを見せて寝かしつけていたほど異常な家庭だったので、当然も当然と言えるでしょう。陽菜がどんな子に育つのか、わたしには想像もできません。
○月×日
きょうは陽美様が高級ソープ嬢としての勤務を始めてから、ちょうど半年の記念日です。わたしはそういった店に入ったことがなかったのでよくわかりませんが、ソープ嬢というものはプレイルームをいつも自主的に管理していなければならないらしく(そうでないと店側の違法な管理売春になってしまうそうです)、陽美様は決められた休日と生理休暇以外は朝から夜まで、まるで正社員のようなきちんとしたスケジュールで働いています。むしろタカシ様と暮らしていたころよりも今の方がずっと規則正しい生活を送っているようで、わたしは複雑な気分になってしまいました。