博隆が隆たちの奴隷になって、数週間が過ぎた。
現在の博隆の生活は、まさに「悲惨」の一言である。昼間は以前と同じように会社で激務に追われ、家に帰ればスーツを脱ぎ、無様な「裸エプロン」姿で「奥様」と「ご主人様」に給仕をする。もちろん陽菜の世話や家事も彼の仕事だが、仕事との両立はほとんど不可能と言ってよかった。まったく残業をせず上司ににらまれながら定時で帰り、陽美たちが淫らなセックスを楽しんでいる横で、部屋の掃除や料理、妻の痴態の撮影(もちろん隆の命令だ)をさせられるのだ。
しかし、そんな毎日を博隆はずいぶんと気に入り、奴隷らしい振る舞いも板に付いてきていた。陽美もそうだが、人間は自身の変態姓を一度認めてしまうと、それをとどまるところなく解放させてしまうものなのかもしれない。思春期の経験から生まれた常人に理解のできないマゾヒズムが彼を支配し、無残な変態生活をバラ色に思わせているのだった。
陽美は日を追うごとに淫らに変身しており、いまは陰毛まで透けて見えそうなきわどい下着を平気で身につけて、持ち前の美巨乳を男たちにみせびらかせながら繁華街を闊歩している。乳首の形まで透けて見えそうな露出度の高い服装は、まるで外国の娼婦だ。
陽美はもうすぐ隆とおそろいのタトゥーを入れ、乳首にも鈴つきのピアスを入れる予定だという。自分の妻がどんどん他の男の趣味に染められ、自分から離れていくことにも、博隆はすっかり満足している様子だった。彼の最近の不満といえば、ここのところオナニーを一切禁じられ、3週間も射精をしていないことだけだ。以前の姿からは想像もつかないエロい格好で歩き回る陽美を見ただけで、彼はすっかりチンポをビンビンにおったててエプロンを持ち上げてしまう。そのたびに2人に笑われ、嘲られ、オナニー解禁のおねだりをするのも彼は大変に気に入っていた。
いまの博隆は言葉遣いから振る舞いまでしっかりと奴隷らしく躾けられており、新たなマンションの主人となった隆とかつての妻、陽美にだけでなく、娘の陽菜にすら最上級の敬語を使って接していた。それももちろん隆たちの命令によるものだが、きっかけはこんな出来事からだった。
ある日、いつものように博隆が帰宅すると、リビングから聞いたことのないあえぎ声が漏れ聞こえてきた。隆が陽美以外の馬鹿女を連れ込んできてセックスパーティでもやっているのかと思ったが、リビングに入って彼は目を丸くした。大画面の液晶TVに映し出されるどぎついアダルトビデオに、ソファに座った陽菜が指をくわえてじっと見入っていたのだ。画面の中では、セーラー服を着た巨乳の女優が体中を精液まみれにしてバックから突かれながら、前に立った2人の男優のチンポを浅ましくダブルフェラしている最中だった。教育に悪いどころの話ではない。
陽菜はすでに3歳で、言葉の発達がやや遅いとはいえ単純な単語なら明瞭に話せるくらいには成長していた。慌ててテレビに駆け寄って電源を消した博隆だったが、突然後ろから声をかけられて、びくりと直立不動の体勢になった。
「おまえ、何やってんの?」
キッチンから現れたのは彼の現在の主人、隆だった。陽美の姿は見あたらないが、今は出掛けているのだろうか。隆は不機嫌そうに煙草をふかし、灰をなんのためらいもなくフローリングに落とした。反射的に灰皿を取りに行こうとした博隆だったが、隆は突然彼の首をつかみ、無防備な腹に強烈な膝蹴りを入れた。
「うぐっ!ケホ、ゲホホッ!」
「俺が陽菜にちゃあんと性教育してやってんのに、何勝手なことしてんだよッ!このオヤジがッ!」
肺の中身が全て吐き出され、博隆は酸欠と同時にめまいがするのを感じた。たまらずフローリングに突っ伏した彼に、隆は容赦なく連続で蹴りを入れる。
奴隷根性がまだ染みついてねえみたいだな。そこから素っ裸で追い出すぞこの変態野郎。ありがとうございますはどうした!
繰り返される暴力に博隆はしばらく体を丸めて耐えていたが、最終的には隆に突っ伏して「陽菜に正しい性教育を施して下さってありがとうございました、これからもどうか娘のことをよろしくお願いいたします」といつものように礼を尽くしていた。彼が本当の意味で陽菜の父親を廃業した瞬間であった。
それ以来、陽菜のことを博隆は「お嬢様」と呼んでうやうやしく仕えている。隆は博隆のいない日中、陽菜を抱いては「ほーら、パパだよ、パパっていってごらん」とあやしていたので、すぐに陽菜は彼のことを「パパ」と呼ぶようになった。博隆はもちろん「おじさん」である。10歳も年下のガキに妻を寝取られただけでなく、大切な娘までも言いように洗脳される。これ以上ない屈辱に、筋金入りの寝取られマゾである博隆は身を震わせて感じていた。
マンションはしばらく前から、隆の不良仲間たちのたまり場になっていた。初めて体格のいい大学生たちがどかどかと入って来たときには博隆も驚いたが、いまでは隆と同じように、最高級のもてなしをもって迎えている。陽美はすでにそのほとんどと肉体関係を結んでいる様子で、今日も坊主頭の男に「ルミ、今日すげえたまってるからさぁ。3000円払うからまた抜いてよ」と声を掛けられて、嬉しそうに腰を抱かれて夫婦のベッドルームへと消えていった。
へこへことしながら小間使いのように(というより『小間使いそのもの』なのだが)へつらう博隆を学生たちは笑い、小突き回していた。隆に誘われて最初は半信半疑で部屋に入ってきた学生たちだったが、自分たちよりも10歳近く年上の男が裸エプロンで給仕をしているという事実に大うけし、すぐに隆と同じように博隆をこき使うようになった。いまやこのマンションは彼らのたまり場であり、ヤリ部屋であり、ドラッグの隠し場所であり・・・何もかもを自由に使える「パラダイス」なのだった。
「おいヒロ、お楽しみ中の奴らにお茶でも持って行ってやれよ」と小突かれた博隆は、いわれたとおりに麦茶をトレイに載せてベッドルームへ向かっていた。裸にエプロンだけを身に着けて歩いていると、つい内股になり、オカマのような歩き方になってしまう。それでも隆に命令されたとおり、きちんとトレイを片手でリフトして歩くその様は、まるでプロの執事のようだ。
聞きなれた陽美のあえぎ声が、ドアの隙間からもれている。ノックを2回。「失礼します」とやや大きめの声をかけてドアを開けると、部屋の中では今まさに陽美と先ほどの学生がアナルファックを楽しんでいる真っ最中であった。
新婚当初に夫婦で選んだダブルベッドの上で、陽美は四つんばいになってバックからズップリとケツ穴を犯され、淫らな嬌声を上げていた。豊満なケツ肉を後ろからわしづかみにし、男は好きなように腰を動かして妻のアナルの感触を味わっている。体育会系だという坊主頭は鍛え上げられた素晴らしい体格をしており、博隆はあらゆる意味でみじめさを感じてチンポをおっ立ててしまった。尻を高く上げてメス犬のように腰を打ちつけている妻の手には、いま男に渡されたらしいくしゃくしゃの1000円札が握られていた。
抜く、と一口に言っても、たかが3000円でアナルファックまでさせる彼の妻は、そこらの売春婦以下の存在といってもいいだろう。ピンク色のエプロンにじんわりと先走り汁をにじませて、彼はしばらくまじまじと「大人のセックス」に見入ってしまっていた。つい股間に手が伸びそうになるが、ここでオナニーしたことを隆様に告げ口されたら、今度は何をされるかわからない。博隆は「お楽しみ中失礼いたしました、粗茶でございます」とうやうやしく口上を述べると、ベッドそばのテーブルに麦茶を置き、そそくさとベッドルームをあとにした。
結局2人は異常性交に夢中で、一度も彼の方を向くことはなかった。このエピソード一つを取ってみても、博隆の今の立場がいかに矮小でみじめなものかわかるだろう。博隆の日常は完全に非日常となり、藤堂夫妻の愛の巣は、日に日に荒れ果てたラブホテルへと変貌していったのである。
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