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【コラム】良い寝取られ、悪い寝取られ

最終更新:2019/01/21 16:02 │ ブログ記事 | コメント(0)
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先日ツイッターに「良い寝取られ、悪い寝取られ」について連投したら割と好評を頂いたので、せっかくですからブログの方でもコラムとして書いてみようと思います。


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さて、このサイトはいつごろからか3DエロゲーのMOD紹介所みたいになってしまいましたが、もともとは寝取られをテーマにした創作の場として開設したブログです。最近は長編小説より画像をメインにした創作が増えていますが、このところ創作の中で「いい寝取られ」「悪い寝取られ」の違いというか、良質なNTRの条件について考えることが多くなってきました。

前から思っていたことなんですが、「NTRの良さ」と「作者の力量」とは意外とリンクしないことが多い気がするんですよね。小説でも漫画でも、有名作家の書いた卑猥小説よりも素人丸出しの文章で書かれた2chコピペの方が興奮を誘ったりすることが往々にしてあります。もちろん重松清先生の愛妻日記みたいな傑作もたくさんありますが、それはどうしてなのか。

寝取られ作品の「良さ」に必要なのは臨場感というか、主人公の心情に自分を重ね合わせられるかどうかがキモだと思うのですが、それが意外と「作者が創作に熟練しているかどうか」と重ならない、ということなのですね。2ch(5ch)の寝取られ系スレを読みあさった経験のある方もいるかもしれませんが、中には創作(というかウソ)のスレも多くある中で、ああした「寝取られた人」による報告のリアルさ、生々しさってたまらないものがあったと思います。エロシーンがなくても、興奮させられる。NTRにおいて「リアルである」ということは「上手な創作である」こと以上に非常に重要なんですね。

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そこら辺の考察もあって、アスカシリーズでは「ヒロインの心変わり」「傍観するしかないもどかしさ」を描くことだけを重視して、会話シーンにかなりの枚数を割きました。エロシーンはあくまで「寝取られた結果」のエピソードであって、やはり「寝取られ」の良さ、たまらなさというのは「取り返しのつかなさをリアルに感じさせる焦燥感」にあるのではないかと思ったんです。あれは割と寝取られ愛好家の方にも好評でしたし、自分で読み返してみても比較的良かったんじゃないかと思います。

書き手からするとNTRって過程が全てというか、寝取られた結果のエロシーンってスタッフロールみたいなものに感じることがあってサラッと終わらせがちなんですけど、読み手からすると「おいここからやろ!」ってガクっとなったりすることがありますよね。逆に「ヒロイン、なんでこんなおっさんになびくねん!」って違和感を覚えることもたくさんあると思います。「そんなにデカチンっていいかな?」「マジカルチンポか!」みたいなね。創作側は「寝取られの過程をしっかり設定したろ!」と思っているのに、読み手は「そんなことよりエロシーンが読みたいんですけど!」というすれ違いが生まれてしまうという悲劇。

でも最近思い直したことがあって、リアルな寝取られって、主人公がキッチリ「なぜ寝取られたのか」を理解することって少ないんですよね。むしろ、理由が分からないのになぜか最愛の彼女の様子がおかしい、距離を感じる、自分以外の男の存在がちらつく…と焦燥感を覚えるほうがよりリアルだと思います。やっぱり凝った設定よりも焦燥感が大事なんですね。

最近dmm(FANZA)で年間最も人気だったジャンルが「寝取り/寝取られ」だったなんて話もありました。NTRにはやっぱり観念的、脳的、文学的な高度なエロさがあり、もはやニッチですらないメジャーなジャンルなんだと思うんですよ。NTRのエロさって、おっぱい見て「わーエロい!」みたいな感覚の対極にあると思うんです。だからこそ理論的に掘り下げる意味があるし、逆に表面だけをなぞってもエロくならない。AVなんか特に「イイ寝取られ作品」と「ワカッテナイ寝取られ作品」がキッチリ分かれるんですが、ワカッテナイ方はたいてい表面だけをなぞっていて「焦燥感」が表現できていないから、ただの不倫AVになってしまって寝取られになっていない。最近そんなふうに理解するようになりました。

少し自分の作品のことを書くと、長編小説「工藤夫婦の堕落」の寝取られシークエンスは長らく稚拙だったなあと僕は思っていて、むしろ2作目の「綾香」の方が設定が凝っていて気に入っていたんですが、そういうところが寝取られの「良さ」を決定する重要なポイントではないのかもしれません。やっぱり主人公とヒロインの関係性を掘り下げるには、キャラ同士の会話をきちんと掘り下げないといけないのでしょう。(でも、「綾香」で寝取られた彼女が相手をかばう言動をするあたりなんかは今見てもなかなか悪くないですね。もう10年前の作品ですけど)

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ところで違うジャンルの話になりますが、催眠/洗脳ジャンルって、「お約束」の表面をなぞるだけでもちゃんとエロくなるんですよ。「は?催眠なんてあるはずないじゃないですか」って言いながらスカートめくってたり、目のハイライト消して全裸で敬礼させてるだけでしっかりエロいんです。これはNTRと違って心の機微を描かなくていいからなんですよね。思い通りにならないはずの人間が従順な人形になったエロスなので、これはこれでいいんです。

ただ、往々にしてNTRと催眠/洗脳ってちゃんぽんになることが多いんですよね。その2つは混ぜると後者が勝ちます。京野菜とソースみたいなもので。創作者的には簡単なんですけど、寝取られの純文学的な良さは薄れます。私の過去作品の「良くなさ」はそこにあるのかなと。いや「良くなさ」というと全否定になっちゃうから言い過ぎかな、でもNTRの本来的な良さってまた違うところにあると思うんですよね。

「寝取られの過程=洗脳」っていうのは自然だと思うんですが、催眠作品のようにヒロインが簡単にサクっと人形化してしまったのでは本当の意味では寝取られていないんですよね。ただ人形になっただけなら、人間に戻れば自分のところに帰ってきてくれるわけですから、そこに真の焦燥感はない。そういう作品ではなくて、もっと焦りと後悔で胸を内側からかきむしられるような「ヒロインの心変わり」が描きたい。そんなことを思う2019年でした。

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