タカシという男に指定された銘柄は、いくら町を探しても見つからなかった。「ピース・アコースティック」。最寄りのコンビニにも、駅前のたばこ屋にも、自販機のラインナップの中にも、そんな名前のパッケージは見あたらない。日が傾きかける中、博隆は迷い犬のように、街をとぼとぼと歩き続けた。
三つめのコンビニにも、目あての銘柄の煙草は置いていなかった。意を決して若い店員に在庫の有無を尋ねてみると、店員は不思議そうに目をしばたたかせた。
「ピースのアコースティックですか?・・・ああ、そんなのありましたね。もう2年くらい前になくなった奴ですよ、それ」
「タカシ」にからかわれていたことに気付くのに、しばらく時間を必要とした。「ピースアコースティックを買ってこい」。存在しない煙草を指定した彼の言葉は、「お前は邪魔だから出て行け」という意味だったのだ。
しかし、博隆は思ったほどの衝撃を受けなかった。頭のどこかで「ああ、やっぱりな」という思いすらあった。彼は店員にていねいに礼を言うと、通常のピースを2カートン購入し、なにごともなかったのようにマンションへと引き返した。まるで、命令に忠実なロボットのように。急いで帰らなくてはいけないと焦る気持ちと、いつまでもあの家に帰りたくない気持ちが、心中で混在していた。
「んちゅ、ちゅっ・・・あは、たかしぃ・・・あいつ、もう帰ってきたよぉ・・・?めんどくさぁい」
「お、マジだ。ははっ・・・おい、ヒロ!俺の煙草はちゃんと買ってきたんだろうな!あぁ?」
博隆がマンションに戻ると、陽美とタカシが居間のソファでいちゃいちゃと絡み合いながら、熱烈なキスを交わしているところだった。いつの間にか、玄関のドアにかかっていたチェーンは外されていた。まるで、情事の真っ最中に博隆が帰ってくるのを企図していたかのように。
2人とも、ほとんど衣服を脱ぎ散らかしたような半裸姿。陽美の上衣はめくりあげられ、汗だくの豊満なバストがタカシのすぐ眼前でたぷたぷと揺れている。スカートは床に脱ぎ捨てられ、下半身にはかろうじてピンクのパンティがくるぶしに引っかかっているだけだった。
陽美の柔らかいおっぱいが、タカシの指のなかで大きくたわんで、卑猥な形に変形している。大切な妻のバストを我が物顔でもみしだきながら、彼はぎゃはははは、と下品に笑った。タカシは上衣こそ着ていたものの、下半身は完全に何も身につけておらず、ごつごつと血管の浮き出たペニスをあらわにしている。陽美は対面騎乗位の体勢でタカシの体にまたがっており、背中側に回した細い指で、タカシのペニス全体をくちゅくちゅと愛撫していた。その剛直には大量の精液がたまったピンク色のコンドームが重たげにかぶさっており、二人がついさきほどまで濃厚な不倫セックスを楽しんでいたことを雄弁に語っている。
「わりぃ、あんたがぐずぐず買い物してる間に、陽美と2発もやっちゃったわ!暇だったからさ、別にいいよな?」
げらげらと笑うタカシを前に、博隆はがくりと膝を折った。
「・・・陽美、う、うそだろ・・・!」
「・・・プッ、なんか絶望したみたいなフリすんのやめてくんない?あたしがもうずっと前からタカシとセックスしまくってるって、とっくに知ってたクセに。いまさら夫ヅラするとか、鬱陶しいだけなんだけどぉ?」
陽美はタカシにまたがったまま振り返ると、軽蔑しきった目で、戸口で膝をついてうめき声を上げている博隆を見下した。
「・・・あ、ヒロ、コンドーム外すね?わあ~、いつもよりいっぱい出てる♪あたしのおま○こ、そんなに気持ちよかったぁ?」
「おう、最初は全然ケツ振りも下手くそだったけどな。最近はちょっとはマシになってきたんじゃねえ?俺が教えた下品なバキュームフェラもうまくなったしな」
「だってえ、あのバカのカスチ○ポ、昔からすっごく早漏なんだから・・・入れたらカクカク腰振ってすぐ『ドピュッ!』なんだよ?タカシの立派なオスチ○ポをハメてもらえたから、上手なケツ使いを覚えられたんだから」
「へえ~、ヒロくんはそんな早漏男なのかぁ?おい!そこでチ○ポ見せてみろよ!ホラ、あいつもう勃起してんじゃね?ぎゃははははっ!」
「うわっ、すっごい変態だね。あたしが不倫してるのに興奮してるんだ?知ってるよ、ずうっとあたしにヌいて貰えなくて、毎晩悶々としてるんでしょ?ほら・・・こっち向いてえ?これ、きれいに始末しといてよね。ホラッ!」
ベチャッ!
陽美が投げた物体は、博隆の額にねばついた音を立ててヒットした。先ほどまでタカシのペニスにまとわりついていた、精液まみれの「愛の証」。額にピンク色のコンドームをべっとりと貼り付かせて放心する博隆に、2人は冷笑を浴びせた。
博隆がうつろな目で視線をずらすと、部屋の片隅ではすやすやと娘の陽菜が寝息を立てているのが見える。陽美が自分の娘の前でも平気で不倫セックスに没頭する淫売女に成り下がったことを知り、彼は絶句した。自分のした一度の過ちが、こんなことを引き起こすなんて。心から後悔し、嗚咽する。しかしその心とは裏腹に、自分のチンポがこれまでになかったほどの屹立ぶりを見せていることに、彼は驚いていた。彼を待ち受けている最悪な人生は、「寝取られマゾ」の彼には天国のような生活なのかもしれない。
ビンビンと股間をいきり立たせて嗚咽する夫に、陽美は満足そうな視線を向けていた。キレて暴れるかとも思ったが、まずは上々の反応だ。これからしっかり自分の立場を思い知らせて、あたしの第二の人生にたっぷり貢献してもらわなければ。彼女はほくそ笑んだ。思った通り、夫は何をされても言うことを聞くマゾ男だった。今もこんな状況でチンポを大きくして、気持ち悪い。そんな最低の変態のくせに自分を裏切って他の女に走るなんて、絶対に許せなかった。
たっぷり地獄を見て貰おう。まだうずくまって女のように泣いている夫に冷たい視線を向け、彼女は思った。
奴隷には、奴隷らしい生き方をさせてやる。
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顔面騎乗、足フェチプレイ等、妖艶な女王様にたっぷり可愛がってもらえるよ(。・ω・)ノ
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