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【終章】工藤夫婦の堕落

最終更新:2010/06/06 20:47 │ 【小説】工藤夫婦の堕落 | コメント(0)

【終章】工藤夫婦の堕落

 

 

こうして、慎ましく平和な家庭生活を送っていた工藤夫婦は、倉田修一という男の手によって、それぞれの享楽的かつ堕落した人生に身をやつすことになった。

 

 


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工藤咲希はネットで有名な人妻風俗嬢「さくら」として、現在はマニア向けの人妻デリヘルで働いている。金曜の夜、新宿のラブホテル街の一角で待っていれば、へそ下に「FREE SEX」、胸元にはハートに囲まれた「Bitch」と書かれた図柄のタトゥーを入れ、下品な服装で男たちに巨乳を見せびらかして歩く風俗嬢を見かけるかもしれない。それが、かつては地方の国立大学を首席で卒業したほど聡明だった、工藤咲希の現在の姿だ。

もし彼女がこれから客を取る直前でなければ、あなたは運がいい。「こんばんは、よかったらこれで一本抜いてよ」とでも言いながら5000円札を彼女の手に握らせれば、すぐにそのぷるぷるの唇でチンポを咥えこんでもらえるからだ。裏路地で縦横無尽に陰部を舐め回され、すっかり彼女の口技に魅了されたあなたは、彼女にもらった名刺の電話番号にすぐにまたコールしてしまうに違いない。

あなたは既に知っていたかもしれないが、これがネットで最近囁かれている『新宿には左胸に「Bitch」と書かれたタトゥーのある風俗嬢がいて、いつでも5000円でフェラしてくれる』という都市伝説の真相だ。彼女は高校生だろうとホームレスだろうと構わずに、いつでも男のジッパーをいやらしい仕草で下ろし、のどの奥までくわえ込む変態娼婦に堕ちたのだった。


あれから数年、彼女にとって変化したのは、倉田との関係だけだった。彼の愛人兼秘書として多額の手当を受け取り、セレブな生活を楽しんでいたのも今は昔。倉田は咲希の体を思うがままにしゃぶり尽くしたのち、手のひらを返したかのようにぞんざいに扱うようになり、とうとうある日、彼女にあの「黒い封筒」を手渡した。

中に入っていた「契約書」は、翔太と同じように倉田に隷属することを誓う内容に加え、風俗店で勤務した「上がり」のほとんどを調教の礼金として彼におさめることを定めていた。当時の彼女はこれまで見下していた夫と同じ扱いを受けることにおびえ、土下座して許しを懇願したが、倉田は冷徹な表情で彼女の頭をスリッパで踏みつけにし、「調子に乗るな、この雌豚が」と言い放った。

 

「お前ら夫婦にはもはや家も財産もない。おまえら夫婦の目線の入っていない変態写真をバラまいて、実名と住所をネットにさらしてやろうか?」

「一生後ろ指をさされて生きたいのなら、止めはしないがね。俺は本当にどっちでもいいんだ」

 

どうでもよさそうな顔でそう話す倉田の前で、彼女は泣き崩れた。夫と同じように全裸に首輪という屈辱的な姿で過ごし、犬食いをさせられ、稼ぎの全てを捧げてまで、夫婦で倉田の奴隷か愛玩用ペットとして扱われる生活。彼女はそれを享受することしか自らに残された道はないことを悟り、ついに契約書にサインしたのだった。

倉田に改造された卑猥な体は決して元には戻らない。これまでに嬉々として撮影していたいやらしい写真やビデオが、いまになって彼女の首を絞めることになった。汚い男たちにその美しい体をもてあそばせることで彼女が得た賃金は、その8割近くが倉田の口座に振り込まれる。ブランドものの服やバッグやアクセサリーなど、一度セレブ生活を味わうと、人はそこから抜け出せなくなるものだ。これまで以上に金を必要とした彼女は、どんどんと風俗嬢の生活にのめり込んでいったのだった。


 そして数年が経過したいま、彼女の中には倉田を恨む気持ちはひとかけらも残っていなかった。情けない夫との家庭におしこめられているより、いまの奔放な生活のほうがずっと自由で、自分らしいのかもしれない。今の彼女はそんなふうに考えており、むしろ自分を解放してくれた倉田に、感謝の思いすら覚えていた。彼女はいつの頃からか、昔のように倉田がマンションに帰ってくる日を心待ちにし、身も心も彼に尽くすことを至上の喜びと感ずるようになっていたのだった。

 

 

* * *

 

 

一方、工藤翔太は風俗嬢さくらの運転手兼秘書として、現在も倉田に与えられたマンションで妻と暮らす日々を送っていた。昼はかつて働いていた会社で清掃員としてこき使われ、夜は下半身をいきり立たせた醜悪な男たちの許に、大切な妻をデリヘル嬢として送り届ける毎日。寝取られマゾである彼にとっては、その屈辱こそが最高のオカズなのだ。

咲希を客のもとに送ったあと、車の中で下半身を勃起させ、街行く人々にバレないよう密かにアナルオナニーを愉しみながら待つのが、彼のいまの日課だった。プレイが終わって咲希が帰ってくると、その日の客とした変態的行為を彼女から聞き出し、大事な妻を陵辱されたという変態的愉悦に浸るのだ。もちろん、咲希とセックスすることは決してない。禁じられているからではなく、「できない」ことが彼にとって最高のプレイであるからだ。彼は妻に射精を禁じられることを愉しみ、よりみじめな生活に堕とされることを望んでいた。

咲希が現在勤めている店は本物の「寝取り趣味」を持った客専門の人妻デリヘルだったので、プレイの際に夫が同席するというマニアックなオプションも売りにしていた。咲希の客さえ望めば、彼は「わたしの妻をお客様の立派なおチンポ様で犯して下さい」「妻のおまんこの中に好きなだけ中だしして下さい」と土下座して懇願し、プレイの手伝いをするのだ。彼はそのとき最高に興奮し、倉田に今月の上納金をおさめるためにケツを振っている妻の横で、みじめな寝取られオナニーに興ずるのだった。

 

ちなみに「逆トイレトレーニング」による彼のお漏らし癖はやがて治ってしまったが、今もあの貞操帯は常に彼の股間におさまっていた。彼は妻に鍵を預かってもらい、射精管理される屈辱を楽しむ正真正銘の変態なのだ。妻の客に命令されたときと、倉田が夫婦のマンションに立ち寄る日。それだけがオナニーの「解禁日」であり、彼はその日を心待ちにしながら、みじめな日々を送っているのだった・・・。

 

 

 

* * *

 

 

「お帰りなさいませ・・・奥様、今日のお客様はどうでしたか・・・?」

「ただいま。いつもそれ聞くのね・・・今日は初めての客なんだけど、すっごいデブだったよ。100kgくらいありそうな男で、1時間もフェラさせられてアゴが疲れちゃった。追加で1万くれたから特別に中で出させてあげたけど、ザーメンがすっごい量なの。まだおまんこの中がたぷたぷしちゃってるよ」

「すてきです・・・あとでお口できれいにさせて下さいね」

「本当に変態になっちゃったね、あなた。・・・今日はご主人様は帰ってくるの?」

「はい、20時にはお帰りの予定です」

「そうなんだ、嬉しいな。やっぱりあたし、修一さんに乱暴に犯して貰うのが一番好きだわ。最初はあんたと同じように扱われるのが最悪だと思ったけど、あたしってやっぱりMなのね・・・」

「わたしも、ご主人様と奥様がセックスされている横でオナニーをお許し頂くのが、最高に嬉しいです」

「そう?・・・そういえばあんたもタトゥー入れたんだっけ。ほんとにあの図柄にしたの?」

「はい、奥様のおっしゃる通り、陰毛を永久脱毛した部分に『オナニー専用』と彫らせて頂きました」

「あははははっ!最悪だね、この変態。帰ったらまたケツを犯してあげるね。もちろん射精しちゃダメだからね」

「ああ、ありがとうございます奥様・・・。一杯翔子のおまんこにお仕置きを下さい・・・」

 


          * * * 


 

これが、倉田修一が都内に飼っている6組の奴隷夫婦の、ある1組の顛末だった。工藤咲希はやがて薬物にはまり、倉田にあっさりと捨てられて、最終的には池袋の公園でホームレス相手に売春する最下層の娼婦に転落。彼女の代わりに翔太は本格的に女性化調教を施され、NH風俗嬢として客を取ることになるのだが・・・それはまた別の物語。

 彼らの残滓は今や、ネットのとあるマニア向けブログにしか残されていない。あるページを開けば、「エス」と呼ばれる男の高級そうな靴を、競うようにして舐めあう一組の夫婦の画像を見ることが出来るだろう。それは工藤夫婦が望んだ堕落の象徴ともいえる一枚であり、すべてのしがらみを取り去った彼らの真の姿なのだ。そのブログを読み終わったとき、あなたが本当に望んでいる愛のかたちが何なのかわかるだろう。




 あなたの大切なパートナーがいま、あるホテルであなたよりも優秀な男のチンポを舐め回し、挿入を懇願しているとしたら。あなたの粗末なチンポを心から馬鹿にし、間男の持ち物を褒めそやしているとしたら。それを想像したとき、あなたは憤慨しただろうか。それとも興奮しただろうか。後者ならば、あなたにも工藤翔太と同じ性癖が備わっている。甘美な堕落の扉は、あなたにも開かれているのだ。
 
(完)
 

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